驚くことに意外と最近!?現代病「花粉症」の歴史をひもとく

驚くことに意外と最近!?現代病「花粉症」の歴史をひもとく

毎年春になるとメディアを賑わせる、花粉症。止まらないくしゃみや鼻水、目のかゆみなどに悩まされる人も多いのではないでしょうか。しかし、花粉症がここまで有名になったのは平成に入ってからのことです。かつては花粉症にかかっている人も少なく、テレビの天気予報で花粉の飛散予想が放送されることもありませんでした。では、花粉症はいつからアレルギーとして有名になったのでしょうか。ここでは、花粉症の歴史について、いつから日本で症状が見られるようになったのか、また広まるようになった原因などに触れながら解説します。

そもそも昔は花粉症がなかった!?

日本でスギ花粉症が発見されたのは1963年のことだといわれています。それまで、アメリカにおける花粉症についての記事が日本の新聞に載ったことはありましたが、この年までは、日本で花粉症は見られませんでした。その後、1976年と1979年に日本列島に花粉が大飛散し、社会問題となりました。

しかしながら、毎年春になると花粉症の話題がテレビで取り上げられるようになったのは、平成に入ってからのことです。特に、2005年はスギ花粉の飛散量が前年の約2倍、過去10年で最大の量だと予想されたため、メディアが積極的に話題にし、花粉症の認知度も高まることになったのです。天気予報で花粉の飛散量を発表するようになったり、インターネット上で花粉対策についての記事が提供されたりするようにもなりました。年によってばらつきはあるものの、花粉の飛散量は1960年代に比べて明らかに増加し、それに応じて花粉症に悩む人の数も増え、2018年現在において花粉症は国民病といわれるまでになったのです。

日本ならではの事情!?戦後大量に植林された花粉症の原因「スギ・ヒノキ」

1970年代に入ってから花粉の飛散量が増えた理由としては、スギやヒノキが戦後大量に植林されたことが関係しています。1950年代の日本は、戦後で物資が不足していたことから過剰に森林伐採を行っていました。その結果、全国的に禿山が多くなり、雨が降ると大洪水などの災害を引き起こしていたのです。その対策として、木材としての加工が容易で広い用途で使える、スギやヒノキの植林が進められました。住宅建築の需要が高まったことや、全国的に分布している樹種であること、生長が早いことなども、スギが選ばれた理由でしょう。

また、一般的にスギが花粉を生産し始めるのは、早ければ植えてから約25年後、通常は約30年後だといわれています。そのため、戦後に植えられたこれらのスギが花粉を飛ばし始めたのは、ちょうど1970年~1980年代となり、花粉症が社会問題となった時期と重なります。

このような流れから、花粉症の原因であるスギ・ヒノキ花粉は増加してしまったのです。花粉症が問題となってからは、花粉が少ない品種が開発されて少しずつ植え替えるなど、対策が進められています。

スギ・ヒノキの他にもある!?花粉症を引き起こす身近な要因

花粉症患者が増加した原因は、スギやヒノキの花粉の飛散量が増加したことだけではないのです。花粉が増加する以前と現代を比べると、生活環境のさまざまな点が異なっており、それが花粉症につながっていると考えられています。

たとえば、ストレスの増加。昔に比べて、仕事でストレスを感じる人が多くなり、本来なら害にはならないはずの花粉に対してアレルギー反応を起こすようになった可能性があります。また、食生活も大きく変化しました。もともと、日本人は魚や野菜が多い和食が中心の食生活でしたが、やがて欧米化した食事をとるようになり、脂肪分や塩分を多く摂取するようになっています。それにより体に不調を覚えるようになり、免疫力も低下したため、花粉に対してアレルギー反応を起こしやすくなっているという説があります。

さらに、住む環境が変化したことも花粉症を引き起こす要因として挙げられます。昔は庭がある一軒家が多く、家と家のあいだにスペースがあり、通気性の良い家が多くありました。しかし、現代で多く建てられている高気密高断熱住宅は通気性が高いとは言いにくく、ハウスダストやダニなどが発生しやすくなり、それらに体が過剰に反応する人もいます。それと同じ反応が花粉にも起こりやすくなっているのです。

花粉症の直接の原因がスギやヒノキなどの花粉であることは確かです。しかし、上記のように、症状を引き起こしやすい要因は複数存在します。現代社会はそれらの要因が重なっているため、花粉症患者が増加したとも考えられるでしょう。

花粉症の患者は一体どのくらい増加したの?

では、具体的にどのくらい花粉症の患者が増加したのでしょうか。東京都を例に挙げると、1986年には約10%の人がスギ花粉症にかかっていました。その後、1996年には19.4%に増加します。さらに、2006年には28.2%、2016年には48.8%もの人が花粉症にかかっています。わずか30年のあいだに、一気に花粉症が広まったことがわかるでしょう。しかも、年を追うごとに増加の勢いが増しており、今後も花粉症に悩まされる人が増えていく可能性があるとされています。

それと同時に、世間の人の花粉症への関心が高まり、さまざまな花粉症対策を行う人が増えました。花粉が飛散する時期になると、町を歩く多くの人がマスクを着用していますし、洋服に花粉が付着しづらいスプレーなどを利用する人もいます。また、花粉を吸いこまないようにするこれらの方法以外にも、花粉症に効果的だとされる乳酸菌やプロポリスなどをサプリメントで摂取し、アレルギー症状を抑えるという対策もあります。

花粉症の人の数は、花粉の増加や生活環境の変化によって増加しています。少しでも症状を抑えるためには、花粉を体内に取り込まないようにするとともに、なるべくストレスを溜めないこと、食生活に気をつけ、足りない栄養はサプリメントで摂取することなど健康的な生活習慣に気を配ると良いでしょう。

花粉症情報サイト(外部)

花粉症の主な症状や原因、治療法など:アレルギージャーナル

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