ポイントは汗ばむ程度！
「汗をたっぷりかいているのに、なかなか痩せない！」そんな経験をしたことのある人は少なくないでしょう。「汗をたくさんかくから代謝は良いはずなのに」と思う人もいるかもしれませんね。しかし実は、汗をかくというのは体内の温度調整機能の1つに過ぎず、残念ながらそれ自体はカロリー消費や脂肪燃焼には結びつきません。岩盤浴やサウナなどで一生懸命汗を流して体重が減ったように思っても、体内の水分が一時的に外に放出されるだけで水分が補給されればまた元に戻ります。しかしそれでもテレビや各種メディアでは“汗ばむ程度の運動”は健康法や美容法として紹介されています。
確かに汗をかくだけでは痩せることは難しいですが、大事なことは「汗をかけるだけの運動をする」ということです。脂肪燃焼に効果のある運動としてジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が挙げられますが、実は効率的な脂肪燃焼には運動時の心拍数が大きく関わっています。あまり心拍数が高すぎても身体への負担が大きく無酸素運動に近い運動になってしまいますし、低すぎるとそもそもエネルギー消費が活発になされません。スマートに脂肪燃焼をするためには適度な心拍数で運動することがポイントとなります。その目安となるのが“汗ばむ程度の運動”なのです。じっとりと汗をかく程度なら適度に心拍数が保たれ、脂肪燃焼効果が期待できます。
汗をかいてデトックス
また脂肪を燃やすだけでなく、汗をかくことで体内に溜まった不要な老廃物を排出し代謝アップを図ることもできます。私たちの身体には知らず知らずのうちに毒素が溜まっています。これが腸内に溜まっていると脂肪や糖を必要以上に吸収するようになってしまい様々な病気や肥満を引き起こしかねません。また内臓機能が弱ってしまい体内のめぐりが悪くなり、新陳代謝も衰え肌にも悪影響が出てくるでしょう。体内の毒素を出そうとニキビや吹き出物ができたり、肌のターンオーバーが正常になされずシミやシワを引き起こしたりと見た目にも大きな影響が出てしまいます。身体を健やかに美しく保つためには、しっかりと汗をかいて老廃物を体外に排出してあげることが重要です。しかしただ汗をかけば良いのかというとそれは少し違います。
人間の汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があり、それぞれ異なる役割を果たしています。エクリン腺からの汗は成分のほとんどが水で、体温調節のために出されます。サラサラと水っぽいのが特徴で、辛いものを食べたときや緊張したときに反射的に出ることもあります。一方、アポクリン腺から出る汗はベタベタと油っぽく、ダラダラと流れることが多いのが特徴です。これは水分のほかに身体から出る老廃物を含んでいるためです。つまりデトックスのために汗を出そうと思うのならアポクリン腺から汗をかく必要があるのです。アポクリン腺の汗腺はじわじわと時間をかけて開くので、汗を出すためにはじっくりと身体を温める必要があります。急激な運動ではなく有酸素運動でゆっくりと身体を起こし、アポクリン腺を活発化させましょう。アポクリン腺からの汗は皮脂腺も刺激するので、毛穴に詰まった皮脂や老廃物も流してくれる働きがあるため、美肌にも作用してくれます。
水分代謝を高めて、むくみを撃退！
運動だけでなく、岩盤浴やサウナなどで汗をかいたときには水分補給をしますよね。実はこれも体内のめぐりを良くするのに一役買ってくれています。口から取り入れられた水分は口から胃へ、胃から肺や腎臓、皮膚など身体のあちこちへ運ばれやがて不必要なものは体外へと排出されます。これが正常になされないと“むくみ”となり、放置しておくとそのむくみが脂肪になってしまいます。かといって水分をとらずにいると血液がドロドロになって血流が悪くなり、基礎代謝を低下させかねません。基礎代謝が悪くなるとカロリー消費が効率よく行われませんから、ダイエットのためにはしっかり水分補給するべきと言えるでしょう。
水分代謝の乱れをそのままにしておくと、美容だけでなく健康にも恐ろしい影響を及ぼしかねません。中高年の女性に多い下肢静脈瘤へつながったり、代謝が悪くなったことで肝臓への負担が大きくなりその周辺にも害が及び、ぎっくり腰などの腰痛の原因になったりと重大な症状を引き起こすこともあります。適度に汗をかき、しっかりと水分補給を行い、健康かつ美しい生活を目指してみてはいかがでしょうか。
