美容大国韓国で盛んに行われている鍼治療の歴史とは
鍼治療の歴史は非常に古く、一説によると石器時代の古代中国において発明されたのが元だと言われています。当時は石鍼(いしばり)などで主に膿を体外に出すために使用したものでした。これがのちに動物の骨や竹を鋭くとがらせたもの、陶器の破片などを使うようになり、戦国時代には今の金属の鍼が使われるようになりました。
鍼治療は主に中国・韓国・日本で盛んに行われている手法で、中でも韓国では「一鍼二灸三薬」という言葉があるほど重要な医療行為とされています。日本でも鍼治療は医療行為となっており、医師及び国家資格であるはり師の免許を持つ人にしか施術を許されていません。
中国の鍼治療は「気を操る」「経絡を整える」「経穴をつく」などとあるように、特定のツボや場所を刺激することによって体全体の気の流れを整え、血の巡りを良くするといった概念があります。
そこから日本では独自の進化を遂げ、安土桃山時代に御薗意斎によって作られた金や銀の鍼を木槌でたたいて打ちこむ打鍼法や、江戸時代に杉山和一によって作られた管鍼法などがあり、中でも管鍼法は現在でも日本の鍼の主流の技法となっています。このように古くから鍼は医療行為のひとつとして多くの人たちに長く親しまれてきました。現代でも体の様々な不調を和らげる医療行為のひとつとして鍼を選択する人が増えており、年配の人だけでなく若い層にも密かなブームとなっています。
鍼治療の手順と鍼治療におススメの部位とは?
鍼治療では鍼を患部やツボに刺して治療を行いますが、その際使われる鍼の直径は0.12mm~0.44mmで髪の毛ほどの細さです。患部まで刺した鍼の動きによって刺激を与える「単刺」と呼ばれる技法や、刺したまま10分程度置く「置鍼(ちしん)」、刺した鍼に微量の低周波電流を流す「パルス鍼」などがあり、患者さんの様子や患部の状態をみて適した治療を行っていきます。
一般的に鍼の効果を高く実感できるのは男性よりも女性が多く、慣れた人よりも初心者のほうがより高い効果を実感できると言われています。これはツボに刺した鍼の刺激が自律神経に作用して緊張をほぐし、血液やリンパの流れを正常に整えるという鍼の施術方法に関係しており、鍼の刺激に慣れていない人ほどその効果が高まるからだと考えられています。
また、筋肉質な男性の体よりも女性の体の方がより患部に鍼が届きやすいことも関係します。
鍼は基本的に体のほとんどの部位に打つことが可能であり、顔や手足などは効果が出やすく、腰や背などは痛みを感じにくいと言われています。
最初から皮膚の薄い場所に施術すると、怖いと感じてしまうこともあるので、まずは痛みの出にくい肩や腰などから試してみるのがおススメです。
スポーツなどのけがによる後遺症の治療や慢性的な腰の痛みなどにも効果を発揮します。子供や高齢者も鍼治療が可能ですが、鍼に慣れていない子供や高齢者は鍼に対して強い恐怖心を感じることがあり、怖がる場合には無理に施術はしない方がよいでしょう。鍼治療の目的は鍼の刺激によって脳内に痛みを和らげる物質が分泌される、鍼の刺激が末梢神経の痛みを遮断する、筋肉の緊張がゆるんで血流が改善されるなど、あくまで痛みの緩和や症状の緩和を目的としたものです。
病気やけがの治療のために無理して受けるというよりも、よりリラックスした状況でつらい痛みや体の不調を改善する目的で利用するようにしましょう。
美肌効果も?鍼治療の美容効果とは?
鍼治療の美容効果として見逃せないのが血行を改善する効果と、鍼の刺激により細胞が活性化するという2つの効果です。顔のくすみや目の下のクマ、シミやしわなどはお肌への血流不足、栄養不足が大きな原因のひとつです。冷え性や睡眠不足、ストレスなどもその要因となりますが、肌への血流が乱れることによってお肌の隅々にまで栄養が行き渡らず、結果シミやしわ、くすみの原因となってしまいます。
そこで鍼で刺激をあたえ、お肌の生まれ変わりを促し、血行を促進させることによって、お肌の若返りが期待できます。特に顔は一度の施術でも効果を実感することが多い箇所です。冷え性で顔がくすんで見える、疲れが顔に出ている、という人は一度鍼治療で刺激を与えて血行を促進してみてはいかがでしょうか。