卵殻膜とは
「卵殻膜」というと、馴染みがなく聞きなれない言葉だと感じるかもしれません。でも、実は卵殻膜とは卵の内側に張っている薄い膜のこと。ゆで卵をむくときなどによく目にする、私たちの生活に馴染み深いものなのです。
親鳥が卵を産んだ後、特に栄養を与えなくても細胞がきちんと分裂し、微生物などの外敵から守られ、すくすくと大きくなり孵化するのは、この卵殻膜が大きく関与しているといわれています。わずか0.07mmしかない卵殻膜は、生命維持に必要な計り知れないパワーを持っているといえるのです。
古くから、卵殻膜は民間療法として怪我や火傷の治療に使われてきました。今でも相撲界では怪我をした部分に貼る常備薬として卵殻膜が利用されています。
怪我をした部分に卵殻膜を貼ると、縫って治すよりも傷が開きにくく、皮膚が自然な状態で再生するといわれているのです。
しかし、膜状の卵殻膜は研究素材として扱いにくく、本格的に研究が始まったのは21世紀に入ってからでした。
古くより確かな効果を実感されながら未知の部分が多い卵殻膜は、今までになかった美容効果が期待される画期的な新素材といえるのです。
卵殻膜の美容効果
卵殻膜の美容効果としてまず期待されるのが、肌を若々しく保つコラーゲンを増やす作用です。
私たちの肌に含まれているコラーゲンは、主に1型コラーゲンと3型コラーゲンの2種類でできています。
1型コラーゲンは硬くて強いという性質があり、3型コラーゲンは柔らかくて細いという特徴があります。しかし、加齢とともに1型コラーゲンの比率が増え、3型コラーゲンが減ってしまうため、私たちの皮膚は歳とともに弾力を失って硬くなっていくのです。
しかし、2008年の研究では卵殻膜の成分によって3型コラーゲンが増加したという結果が認められました。つまり、卵殻膜を利用することで若々しいもちもち肌を長く維持できる可能性が出てきたのです。
また、卵殻膜にはシスチンを多く含むという特徴もあります。シスチンは身体の中でL-システインに変化する物質です。
このL-システインはシミやそばかすの元となるメラニンが作られるのを予防する効果があるといわれています。またL-システインは、肝臓の働きを助けて新しい皮膚を作る「ターンオーバー」を促進することも知られています。
つまり、シスチンを多く含む卵殻膜は、シミやそばかすのない色白美肌へとお肌を導く効果を期待できるのです。
卵アレルギーの人は使用できる!?
卵アレルギーの人は、卵殻膜の成分を配合した美容液やサプリメントを使っても問題ないのでしょうか。
一般的に、卵アレルギーの人は卵白の中に含まれる「オボアルブミン」や「オボムチン」という物質に対してアレルギー反応を起こします。卵殻膜にはこの成分は含まれていません。
しかし、アレルギー反応にはさまざまな個人差があるため、絶対に安全であるとはいえないのが現状です。卵から卵殻膜の成分を取り出す際に、卵白の成分が少量混入する可能性もゼロではありません。
卵アレルギーを持つ人が卵殻膜成分の入った美容液やサプリメントを使う場合は、かかりつけの医師の見解を参考にするのがよいでしょう。
また、肌に使用する際は必ずパッチテストをして安全を確かめることも重要です。アレルギーを持っていたり、敏感肌だったりする人は、体調によっても反応が変化します。疲れなどで体調がすぐれないときや肌がピリピリするときはお休みするのも大事です。卵殻膜の美容液やサプリメントは臨機応変に使い、美容成分を上手に取り入れていきましょう。
卵殻膜の効果を発揮するには
卵殻膜の持つ美容効果を最大限に取り入れるには、どんな商品を選ぶとよいのでしょう。
「とにかくお肌をきれいにしたい」という人は、美容液やジェル、ローションなどの肌に塗る商品がおすすめです。
相撲界では「縫合するよりもきれいに自然に傷が治る」といわれている卵殻膜、その成分を凝縮したスキンケア商品なら、肌への効果を大きく期待できるのではないでしょうか。
また、肝臓の働きを助けるL-システインに変わるシスチンを多く含む卵殻膜は、身体の中から肌をきれいにするだけでなく疲労回復や解毒作用にも効果を期待できます。ここで注意が必要なのは、卵から卵殻膜をそのまま取り出して食べても私たちの身体はうまく消化することができず、有効成分を取り込めないということです。
卵殻膜の有効成分を取り込むには、吸収できるように加工したサプリメントやドリンクを選ぶことが重要といえます。肌に塗っても、摂取しても大きな効果を期待できる卵殻膜の有効成分。上手にアンチエイジングに利用し、きれいで元気な毎日を送っていきましょう。