便秘の原因は?
便秘の原因は大きく3つに分類することができます。一つ目は大腸の運動が低下したことによって起こる弛緩性便秘です。弛緩性便秘は、腸管の緊張が緩んだことにより蠕動運動が適切に行われず、大腸で水分か過剰に吸収されてしまい、固くなった便が大腸内に長くとどまってしまいます。女性や高齢者に多く見られるタイプで、運動不足や水分不足、食物繊維不足が原因とされています。
二つ目は、大腸の緊張によるけいれん性便秘です。けいれん性便秘は、副交感神経の過度な高まりにより腸管が緊張状態になり、便が上手く運ばれずコロコロした便になることが特徴です。便秘と下痢を交互に繰り返したり、食後に痛みが伴ったり、残便感が残ることもあります。過敏性腸症候群や精神的なストレス、環境の変化などが原因とされています。
三つ目は、直腸に便が停滞してしまう直腸性便秘です。直腸性便秘は、便が直腸に達しても排便反応が起こらず、便が停滞してしまうものです。寝たきりの人や高齢者、排便を我慢する習慣のある人によくみられます。
また、この他にも大腸がん、イレウスなどの器質的な原因によって、通過障害のある場合があります。血便や、吐き気、激しい腹痛などの症状を伴うときはすぐに病院へ行きましょう。
善玉菌と悪玉菌とは?
人の腸の中には約100兆個の細菌が生息していますが、その細胞の働きによって、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類することができます。まず、善玉菌は腸内を酸性にしようと働くものであり、ビフィズス菌や納豆菌などがこれにあたります。善玉菌は腸の蠕動を担っているだけでなく、整腸機能や免疫力を向上させる働きをする菌です。
一方で悪玉菌は腸内をアルカリ性にしようと働くものであり、有害物質を作ったり、腸壁の壁を傷つけたりします。さらに、免疫機能の低下や肝臓を弱らせる機能も備えているため、生活習慣病や老化にもつながる可能性を有しています。ウェルシュ菌、ブドウ菌、大腸菌(毒性株)などの菌がこれに該当する菌です。しかし、悪玉菌は不要な菌というわけではありません。悪玉菌は善玉菌を刺激して効果を発揮しやすくする働きや、体内に侵入した病原性菌を攻撃する働きも持ち合わせています。
また、善玉菌と悪玉菌の他に日和見菌があります。日和見菌は、優勢の菌と同じ働きをする性質があるため、善玉菌が優勢のときはビタミンを合成し、悪玉菌が優勢のときは有害物質を作る菌です。そのため、重要なのは悪玉菌と善玉菌のバランスであるといえるでしょう。腸内バランスでベストなのは、善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7の割合とされています。
腸内で働く乳酸菌!
乳酸菌には腸内環境を整え、腸内の菌のバランスを正常に戻すはたらきがあります。腸内で乳酸菌が増殖すると、乳酸や酢酸が作られるため悪玉菌の増殖を抑制することができます。また、乳酸菌には蠕動運動を促す役割もあり便秘解消に役立つことに加え、免疫システムを刺激することもできるので風邪予防にも有効的です。そして、腸の中で悪玉菌の数が優勢だと腸の働きは衰え毒素が発生する可能性が高いですが、乳酸菌は毒素発生を防ぐ働きも持ち合わせています。
さらに、乳酸菌は以上のように生きているときだけでなく、死滅した後も体に良い作用をもたらします。死滅した乳酸菌は腸管内にある他の菌に悪影響を与えないだけでなく、善玉菌が退治した悪玉菌を吸着し、外へ排出するよう促します。これは食物繊維の働きによく似ているでしょう。そして、死滅した乳酸菌は加熱されることで乾燥菌体へと生まれ変わり、再び腸へとたどり着きます。そして腸内で活躍している生きた乳酸菌のエサになることもできるのです。
腸内環境を改善して便秘を解消しよう!
便秘を改善するには、腸内の善玉菌を増やし常に菌のバランスを保つことが欠かせません。悪玉菌を減らし善玉菌を増やす方法として、積極的に乳酸菌を摂取することや、生活習慣を見直すこと、運動をすることが挙げられます。善玉菌を増やしたり、腸内環境を整えたりする働きのある乳酸菌は、主にヨーグルトなどの発酵食品に多く含まれています。また、乳酸菌は味噌にも含まれているので、味噌汁や漬け物、納豆といった和食を心がけることも便秘改善に有効的でしょう。
そして、不規則な生活習慣は悪玉菌を増やす原因になるため大敵です。暴飲暴食や睡眠不足にならないよう、規則正しい生活をおくることが大切です。また、自律神経の乱れは胃や腸の働きを鈍くするので、ストレスを溜め込まないよう気をつけましょう。
さらに、運動をすると腸が刺激されるため腸の蠕動運動を促すことができます。ストレス解消にもなるので便秘改善に適切です。なお、サプリメントで乳酸菌をとることもできるので、いきなり生活習慣を正すことや、運動を行うことが難しい場合は、サプリメントの利用を検討するといいでしょう。