あなたはどのタイプ?花粉症かどうかが分かる「アレルギー検査」って何?

あなたはどのタイプ?花粉症かどうかが分かる「アレルギー検査」って何?

花粉症の疑いがあるときに病院に行くと、アレルギー検査を受けることができます。アレルギー検査を受ければ、その症状が花粉症かどうかがはっきりして、花粉症の原因となっている花粉の種類を特定することができ、その後の対策も取りやすくなります。検査を受けずに、何が原因となっているのか分からないまま放置してしまうと、どういった対策を取ればいいのか分からずに困ることになるでしょう。今回は、花粉症の原因やメカニズム、そして病院で受けられるアレルギー検査について解説していきます。

花粉症のメカニズムと原因

植物の花粉が体内に侵入することで起こるアレルギー症状のことを花粉症といいます。医学用語では季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、日本人の4人に1人は花粉症にかかっているといわれています。花粉症の主な原因物質であるスギ花粉が飛ぶ春先になると、マスクをして街を歩く人の姿がよく見受けられるでしょう。しかし、花粉症の原因となるのはスギ花粉だけではありません。たとえば、スギ花粉と似た症状を引き起こさせるヒノキの花粉も多くの人の花粉症の原因となっています。また、ススキなどのイネ科の植物の花粉で花粉症にかかることもあり、その場合は初夏から秋にかけて症状が出ることになります。

花粉症の症状を引き起こさせているのは体内の免疫システムです。花粉が目や鼻から体内に侵入すると、血液中のリンパ球は花粉を異物とみなし、IgE抗体を作り始めます。IgE抗体が作られると、目や鼻の粘膜に存在する肥満細胞の表面に付着していきます。そうすると、次に花粉が体内に侵入したとき、IgE抗体はその花粉と結合して肥満細胞に信号を送るのです。その結果、肥満細胞の中に蓄えられていたヒスタミンなどのアレルギー物質が放出されます。このアレルギー物質がくしゃみや鼻水などの花粉症の症状を引き起こすというのが花粉症のメカニズムです。

体内のIgE抗体の量はリンパ球が花粉と接触するたびに増えていきます。そうして蓄積されたIgE抗体の量が一定の基準を上回ると、花粉症の症状が現れるようになります。それまでは何ともなかったのに突然花粉症にかかるのは、体内のIgE抗体が一定量を上回ったということです。このように、あらゆるアレルギー症状は免疫力が高いほど現れやすいという傾向があるのです。また、IgE抗体の作られやすさは遺伝によって決まっています。一般的に、アレルギー体質だといわれる人はIgE抗体が作られやすい遺伝的素因を持っています。

もしかして花粉症かも…病院でアレルギー検査は受けるべき?

花粉症の症状は主に目と鼻に現れます。これは、アレルギー物質を放出する肥満細胞が目や鼻の粘膜に多く存在しているためです。花粉症にかかると、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの風邪によく似た症状が現れます。そのため、花粉症なのか風邪なのか判断しづらいという人も多くいるでしょう。花粉症と風邪の症状の相違点は、花粉症は花粉が飛んでいる間は症状が続くということ、そして鼻水がさらさらとしていて水っぽいということです。また、花粉症の場合は目のかゆみや充血などの症状を伴うことが多いので、こうした点からも風邪ではないことが確認できるでしょう。

花粉症の疑いがある場合、まずは病院でアレルギー検査を受けるのがよいでしょう。花粉症の原因となる花粉にはさまざまな種類があり、それを自分で突き止めるのは困難です。症状の現れ方も人それぞれなので、病院で原因となっている花粉を調べてもらったうえで、治療方法についての指導を受けるのが賢明だといえます。なお、病院にかかって花粉症の治療を受ける場合は、主に薬物療法で治していくことになります。抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などの処方を受け、服用することで一時的に症状を抑えるという治療法です。鼻づまりの症状がひどいときなどは、レーザー手術によって治療を行う場合もあります。

花粉症は一度かかったら治らないとよくいわれていますが、病院での治療で完全に治せる可能性のある方法があります。それが「アレルゲン免疫療法」です。アレルゲン免疫療法では、花粉症の原因物質を少量ずつ体内に入れていくことで免疫の獲得を目指します。すなわち、花粉に対してアレルギー反応を起こす体質を根本的に変えていくということです。治療が完了するまでには2~3年ほどかかりますが、花粉症を根絶できる唯一の治療法だといわれています。舌の裏側に薬液を垂らすだけという「舌下免疫療法」も効果が認められており、注射よりも気軽に花粉症が治せるということで注目を集めています。

アレルギー検査はいつ受けるのがベスト?

花粉症に初めてかかったという人は、症状に気付き次第なるべく早めにアレルギー検査を受けるようにしてください。今まで花粉症の症状が出ていたけれど病院で検査を受けてこなかったという人は、アレルギー検査を受けるタイミングに気を付ける必要があります。というのは、花粉症の症状が出ていないときに検査を受けると、陽性反応が出ないことがあるからです。つまり、花粉症にかかっているということが分かっている場合でも、症状が出てから検査を受ける必要があるということです。無駄足を踏むことにならないように、アレルギー検査は症状が出てから受けるようにしましょう。

検査1【血液検査】

花粉症のアレルギー検査にはいくつかの種類があり、その1つ目が血液検査です。血液検査では、血中のIgE抗体の総量と特異的IgEの有無を検査します。特異的IgEというのは、特定のアレルゲンに反応する性質を持つIgE抗体のことです。たとえば、スギ花粉に反応するものであればスギ特異的IgE、卵黄に反応するものであれば卵黄特異的IgEといった具合です。さまざまな種類がある特異的IgEの中で、特に量の多いものを特定することで花粉症の原因となる花粉の種類を突き止めるということです。

血液検査によって原因となる花粉の種類が判明すれば、気を付けなければならないそれぞれの植物が花粉を飛ばす時期が分かります。その結果、翌年からは花粉が飛散し始める前に病院で薬を処方してもらうこともできるのです。花粉症の予防の観点からも、血液検査でアレルゲンを特定しておくことは重要だといえるでしょう。ただし、あるアレルゲンの特異的IgEが多いからといって、そのアレルゲンが体内に侵入したときに必ずしもアレルギー症状が起こるわけではありません。これは、特異的IgEの近くに肥満細胞がなければ、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることもないからです。そのため、特異的IgEの血中濃度はあくまで目安だと考えておくのがよいでしょう。

IgE抗体の総量を調べる検査と特異的IgEを調べる検査は、それぞれ別で料金がかかります。総量を調べる検査の料金は比較的安価ですが、特異的IgEのほうはやや高めです。また、1種類の特異的IgEについて決まった料金が発生し、複数の特異的IgEについて調べるとその数にしたがって料金は高くなります。たとえば、スギとヒノキ、ススキの3種類の花粉について検査を行えば、3回分の料金がかかるということになります。同時に13種類までの特異的IgEについて調べてもらうことができますが、検査する数が増えるほど料金が高くなるということは頭に入れておいたほうがよいでしょう。

検査2【パッチテスト】

血液検査よりも気軽に行える検査方法として、パッチテストやプリックテストなどの皮膚反応検査があります。パッチテストでは、アレルゲンエキスを患者の健常な皮膚に塗って反応を観察します。一方、専用の細い針などで皮膚に小さな傷を付け、そこにアレルゲンエキスを塗るというのがプリックテストです。いずれのテストでも、アレルギー反応がある場合はアレルゲンを塗った部分が赤くなったり腫れたりします。皮膚反応検査は気軽に行える半面、血液検査よりもアレルゲン特定の精度が落ちるという欠点があります。

皮膚反応検査のメリットは、料金が安く済むということ、そして短時間で結果が分かるということです。ただし、皮膚反応検査を受けるうえで注意しなければならないことがあります。それは、検査を受ける前の1週間はアレルギーを抑える薬の服用を止める必要があるということです。すなわち、少なくとも1週間は鼻水やくしゃみなどの症状に耐えなければならないのです。また、検査でアレルゲンエキスを塗った部分の赤みや腫れが後まで残ることがあるという点にも注意が必要でしょう。

検査3【鼻の中の粘膜の検査】

3つ目の検査方法として、鼻水や鼻の中の粘膜を検査する方法が挙げられます。

まず、鼻汁好酸球検査では鼻水を採取して好酸球という細胞があるかどうかを調べます。アレルギー性鼻炎の場合、約80%の確率でこの好酸球という細胞が増加するため、花粉症の検査にも有効だということです。注意点としては、1度検査して結果が陰性だった場合、再度の検査を必ず行わなければならないということです。

鼻粘膜誘発テストでは、原因だと考えられるアレルゲンのエキスを染み込ませた紙を粘膜に貼り付けて反応を観察します。アレルギー検査の中では最も敏感な反応が得られる検査の1つだといわれ、治療を行ううえで役に立つ情報を得られる可能性の高い検査方法です。

もし花粉症だったら…すぐにできる対策を紹介!

病院で診察を受けているひまがない、今すぐに何とかしたいという人は、自分でできる花粉症対策を実践するとよいでしょう。花粉症の薬は市販されているものも多く、薬局などで手に入れることができます。市販薬は主に抗ヒスタミン剤で、そのうちのほとんどが第1世代のものです。第1世代の抗ヒスタミン剤の注意点は、副作用として眠気が起こりやすいということでしょう。実際に、第1世代の抗ヒスタミン成分を利用している睡眠導入剤も多くあります。そのため、眠気を起こしたくないという人は第2世代の抗ヒスタミン剤を探すとよいでしょう。いずれにしても、薬を買うときは薬剤師などに相談しながら決めるようにしてください。

市販薬に頼る他にも、そもそもの原因である花粉を体内に取り込まないようにするという対策方法もあります。天気予報の花粉飛散情報に注意しておく、上着はつるつるとした素材の、花粉が付着しにくいものを選ぶなどの対策を取ることができるでしょう。また、外出するときは忘れずにマスクとメガネを着ける、帰宅したら手洗いうがいをするなどの習慣をつけることも大切です。とはいうものの、花粉症対策として最も有効なのは病院に行って診察・薬の処方などの治療を受けることです。花粉症にかかったときはなるべく早めに病院へ行くようにしましょう。

花粉症情報サイト(外部)

花粉症の主な症状や原因、治療法など:アレルギージャーナル

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