乾燥肌の原因と化粧崩れを起こしやすい理由とは?
乾燥肌とは、肌の水分と皮脂が共に不足することにより、潤いが失われている状態です。入浴や洗顔後に肌のつっぱりを感じたり、かさつきを感じたりします。顔の中で乾燥しやすい部位は、頬・目の周り・口の周りなどです。肌を覆う表皮の一番外側にある角質層は、肌の乾燥と密接な関係があります。角質層にある「バリア機能」が正常に働いていれば、肌の水分は保たれ、アレルゲンの侵入や外部刺激から肌を守ることが可能です。
角質層は、アミノ酸などの天然保湿因子で満たされた角質細胞と、コレステロールやセラミド・脂肪酸などで満たされた細胞間脂質によって成り立っています。角質細胞の間を網の目のように埋めているのが細胞間脂質です。ところが、何らかの原因によって角質細胞の中にあるアミノ酸などの天然保湿因子や細胞間脂質が減ると、細胞をつなぎとめておく力が弱まってしまいます。その結果、バリア機能が低下して潤いがなくなり、水分も逃げやすくなってしまうのです。
一方、毛穴の奥には皮脂腺があり、ここから皮脂が分泌されます。皮脂の役割は、体の表面を覆い、皮膚をなめらかにして傷つきにくくすることです。また、汗と混ざることで皮脂膜を形成し、角質層にある水分の蒸発を防ぎ、潤いを保つ働きもあります。ところが、乾燥肌になると、皮脂が過剰に分泌してくすみ・てかり・よれなどを引き起こしがちです。肌に塗ったファンデーションが皮脂と馴染んで浮いたり、肌に化粧品がうまく乗らずにずれたりすることによって、化粧崩れが起こります。
乾燥肌の化粧直しでミストだけを使うのは禁物!
肌が乾燥したときに、ミストタイプの化粧水を顔に吹きかけている人がいます。しかし、この方法は肌が潤うどころか、かえって乾燥が進んでしまうため、注意が必要です。化粧水は約95%が水分で構成されているため、水分を与えることはできますが、保湿を目的として作られていないため、保湿効果はありません。また、蒸発するときに肌の水分を奪ってしまうため、余計に肌の乾燥が進んでしてしまいがちです。特に、アルコール入りの化粧水ミストは乾燥肌の人が使うのには向いていません。化粧水ミストだけでは保湿力は十分とはいえないため、保湿するために乳液やクリーム・美容液などを合わせて使うといいでしょう。
厚塗りも乾燥を加速させる原因
美肌メイクを行う際にもっとも重視すべきことは、肌の調子を整えることです。肌のトラブルが改善されることで厚塗りを解消することができます。また、化粧崩れしにくくなるため、1日中美肌のままで過ごすことが可能になるでしょう。スキンケアを行ううえで大切にすべきことは、水分と油分のバランスを取ることです。メイク崩れを防ぐために、朝のスキンケアではたっぷりの水分と適度な油分を与えるようにしましょう。化粧水は1度ではなかなか肌に浸透していかないため、2~3回重ね塗りするといいです。
ただし、朝はなかなかスキンケアに多くの時間をかけられない人もいるでしょう。そのため、起きたらすぐに洗顔して化粧水を塗りましょう。歯磨きをした後もう一度化粧水を塗り、その後にトイレに行くなど、時間差でケアを行うといいです。油分の補給については、朝にしっとりタイプを使ってしまうと油分が過剰になる場合があります。そのため、水分をしっかり入れた後は、リフトアップや美白などのケア用美容液を1~2つ使用すると効果的です。
部分的な化粧崩れには保湿が大切
化粧崩れは、肌が乾燥すると起こりやすくなります。顔のすべてのパーツの皮脂腺は同じように発達しているわけではありません。額や眉間・鼻・あごなどは発達しているものの、口の周りや頬はそれほどでもないです。そのため、顔の一部がべたついているからといって脂性肌であるとは言い切れません。逆に、顔のパーツごとに肌の状態は異なっていると言えます。肌の状態は季節や生理周期、加齢によっても変わるため、いつでも同じではありません。そのため、適切なケアを行うためには、自分の肌の状態をパーツごとに把握しておくことがポイントとなります。
部分的に化粧崩れをしたときは、保湿を行うことが大切です。保湿化粧品をつけるときは、手のひらに500円玉大で出して両手で温めた後、手で包み込むようにしてなじませます。このとき、コットンは使わないほうがいいでしょう。コットンをすべらせるときに力を入れたりつけた化粧品が少なかったりすると、肌に刺激を与えてしまう可能性があるからです。乾燥肌の人は特に、保湿化粧品をつけた後に、乳液やクリームなどで油分を補うことを忘れないようにしましょう。乳液やクリームは、保湿したい部分に置くようにしてなじませるのがコツです。
ほうれい線や小ジワにはコンシーラーをプラス
ほうれい線や小ジワが気になる場合は、コンシーラーを使えば上手に隠すことが可能です。コンシーラーにはさまざまなタイプがあり、大きく分けると硬めのものと柔らかめのものがあります。口元はよく動かす場所であるため、硬めのタイプを使うと、メイクがよれてしまいがちです。そのため、ほうれい線を消すには、柔らかめのリキッドタイプで筆ペン型になっているものが使いやすいでしょう。
また、コンシーラーの色選びもポイントとなります。ほくろやシミなどを隠すときは、肌色よりもワントーン暗めのものを使うのが一般的です。しかし、ほうれい線を隠すのに暗い色を使ってしまうと、線がより深く目立ってしまいます。そのため、肌色よりも明るめの色を選ぶのがコツです。使い方は、ほうれい線に垂直にコンシーラーを塗ります。ほうれい線を引き上げながら、塗ったコンシーラーを埋め込むように叩いていきましょう。小ジワもコンシーラーで隠すことが可能です。小ジワには、クリームタイプを使うといいでしょう。手の甲に適量を取ってなじませた後、少量を指に取って、シワの部分を伸ばしながら塗っていきます。
スティックタイプの美容液も便利
肌の乾燥を簡単に解消できるのが、スティックタイプの美容液です。スティックタイプの美容液は美容液を固形化しており、見た目はリップによく似ています。使い方もキャップを開けて繰り出して使うので、リップと同じです。顔の中でも乾燥しがちな目の周りや口の周り、ほうれい線などにピンポイントで使用できます。ポーチに入れて持ち運びができるコンパクトサイズな点も人気を集めています。スティックタイプの美容液は、肌の乾燥が気になったときにすぐに塗ることができるだけでなく、化粧崩れを起こしたときにも使用が可能です。
化粧崩れを起こしたときは、浮いている皮脂をティッシュペーパーなどで押さえた後に、スティックタイプの美容液を塗ってなじませます。その後に、ファンデーションやパウダーなどをはたくと、化粧直しが完了です。メイクをした上からスティックタイプの美容液を使う際には、あまり強く肌に押し付けてしまうと、メイクがはげたりよれたりする場合があります。そのため、肌に塗るときは押し付けるのではなく、置くようなイメージでつけることがポイントです。直接塗ると化粧崩れが気になる場合は、一度手に取ってなじませてから塗るようにすると、心配いりません。
内側からの乾燥肌対策も忘れずに
乾燥肌の原因には、食生活や生活習慣などが大きく関わっています。外からのケアだけでなく、内側からのケアや対策を行っていくことも大切です。睡眠不足だと、新陳代謝が遅れるだけでなく、皮膚細胞の代謝も悪くなります。そのため、肌の調子を整えるためには十分な睡眠をとることが大切です。深い眠りに入るときには成長ホルモンの分泌も多くなり、細胞の修復や再生が行われます。睡眠は、眠りの浅いレム睡眠と眠りの深いノンレム睡眠が90分ほどの周期で繰り返されるため、最低でも6時間以上の睡眠をとるようにしましょう。
肌を健康に保つためには、バランスの良い食生活を行うことも大切です。特に、肉や魚・大豆などのたんぱく質は、肌の細胞を作る栄養素として欠かすことができません。いちごやブロッコリーなどに多く含まれるビタミンCは、免疫力を高める働きがあります。牛レバーやにんじんに多く含まれるビタミンAは新陳代謝の促す働きがある栄養素です。納豆や卵に多く含まれるビタミンB2は、皮膚を健康に保つ働きがあります。レバーやかつおなどに多く含まれるビタミンB6は、免疫機能の維持や皮膚の健康を保つ働きがあり、たんぱく質の代謝に不可欠です。毎日の食生活に野菜や果物を取り入れるように心がけましょう。
まずは乾燥肌を改善することが大切
乾燥肌を防ぐためには、入浴方法にも気を配ることが必要です。汚れを落とすことは大切な反面、こすりすぎると角質層を傷つけてしまいます。洗うときは、肌への刺激の少ないボディタオルがおすすめです。スポンジやネットでしっかり泡立ててから洗いましょう。お湯の温度が熱すぎると、必要な皮脂まで取れてしまい、より乾燥が進んでしまいます。お湯の温度は40度を超えないようにしましょう。お風呂上りは乾燥しやすくなっているため、なるべく早くボディミルクなどで保湿を行います。
エアコンを使うことが増えてきているため、冬だけでなく夏にも乾燥肌で悩む人が増加している傾向です。1年を通して部屋の加湿対策を行っていくことが欠かせません。自宅では、加湿器などを利用して、部屋が乾燥しすぎないようにしましょう。職場などで加湿対策を行いにくい場合は、保湿成分を含んだ化粧品などで対策することがポイントです。化粧崩れをしたときにどう直すかというよりも、乾燥肌を改善していくことで肌の調子も整い、結果的に化粧崩れしにくくなります。そのために、肌に良い生活習慣を心がけることが大切です。