セラミドとはどういう物質なのか?
健康な肌には何層もの角質細胞が重なっており、その一つ一つが接着されたような状態です。その細胞同士のすき間を満たし、水分や細胞をつなぎとめているのが「セラミド」と呼ばれる成分です。2億年以上も昔、海に生息していた生物が陸に上がってきたときに、体を乾燥から守るために体内でつくり出された成分だといわれています。スポンジのように油分や水分を適度に抱え込んでいる細胞間脂質として知られ、細胞間脂質主成分の実に約50%ほどを占めているといわれています。セラミドは肌の奥でつくられ、肌や髪に潤いを与える働きがあります。もともと、肌にはホコリや乾燥などから肌を守るための働きが備わっており、このバリア機能をきちんと働かせるための主成分がセラミドなのです。
セラミドが十分に存在する肌は若々しく、肌表面のキメが整ってしっとりしているという特徴もあります。このような肌はバリア機能も高く、外部刺激による肌荒れを起こしにくいのです。しかし、加齢や環境の変化、気候の変化などの影響を受けると、徐々にセラミドの量は減っていき、潤いのない乾燥したカサカサ肌になりやすくなります。実際に、肌荒れや乾燥肌などがひどい人は、肌のセラミド量が少なくなっていることも報告されています。
セラミドにはどんな種類がある?
人の肌には300種類以上ものセラミドが存在しているといわれていますが、主に化粧品などに配合されているセラミドは大きく4つに分類されます。まず一つ目は「ヒト型セラミド」です。ヒト型セラミドは酵母からつくられるセラミドで、体内に存在するセラミドとほぼ同じ構造を持つことが知られています。そのため、肌への浸透力が高く、刺激も少ないのが特徴です。2つ目は、動物由来の「天然セラミド」です。天然セラミドはそのほとんどが馬由来のものであり、人と同じ哺乳類となる馬の脊髄からつくられるため、肌へのなじみがいいのが特徴とされます。天然セラミドは、肌内部のセラミドの合成を促す働きがあることがわかっています。化粧品においては、「ビオセラミド」や「セレブロシド」、「ウマスフィンゴ脂質」などと表示されているので覚えておきましょう。
3つ目の「植物性セラミド」は、米や大豆、トウモロコシなどから生成される植物由来のセラミドです。肌への刺激は少ないですが、ヒト型セラミドや天然セラミドに比べて保湿力がやや劣るというデメリットがあります。化粧品では「コメヌカスフィンゴ糖脂質」や「グルコシルセラミド」などと表示されています。4つ目の「合成セラミド」は、石油を原料として合成することでつくられるもので、セラミドと似た構造を持ちますが、まったく別物といえるでしょう。
どんな食品からセラミド摂取はできるのか
セラミドは人の肌だけでなく、植物や小麦、米などにも含まれています。セラミドが多く含まれている食材を摂取すると腸内で吸収され、糖やスフィンゴシン、脂肪酸などへと分解されます。このなかのスフィンゴシンが角質層に作用し、肌でセラミドの生成を促進するのです。その結果、肌の保湿力が保たれるという仕組みとなります。セラミドが含まれている代表的な食品としては、米や米ぬか、小麦、大豆、こんにゃく、小豆、ゴボウなどが挙げられます。他には、海藻のひじきやわかめ、牛乳やコーヒー、紅茶などの飲み物からも摂取することが可能です。
1日に必要とされるセラミドの量は約600μgとされており、食品でいうと白米茶碗25杯分、玄米茶碗10杯分、こんにゃく半丁程度といわれています。ただし、食材の吸収率や消化次第で、肌へ届く前に体外へ排出されてしまう可能性もあり、目安量よりも多く摂取する必要が出てきます。特に、こんにゃくには豊富なセラミドが含まれていて、その量は米ぬかに含まれるセラミド量の15倍相当にあたるといわれています。また、セラミドのサプリメントには、こんにゃく芋が原料になっているものも多くあります。
こんにゃくのセラミドで肌のうるおいとバリア機能アップを!
体内で生成されるセラミドですが、加齢に伴い徐々にその量は減少していきます。肌荒れや乾燥が気になる人は、肌のセラミド量が少なくなっているのかもしれません。こうした場合は、セラミドを多く含むこんにゃくを摂取するといいでしょう。こんにゃく芋に含まれるセラミド成分には、優れた保湿成分があることがわかっています。セラミドを十分に生成できる健やかな肌をつくるためにも、セラミドを多く含む食品を摂取することは重要です。セラミド量を増やして肌のバリア機能をアップし、肌荒れや乾燥知らずの健やかな肌を目指しましょう。